【大学生向け】有価証券報告書とは?
就職活動を始めた大学生の皆さんは、
- 「IR」
- 「有報」
- 「短信」
などなど聞き馴染みのない言葉に困惑されていると思います。
そこで!この記事では有価証券報告書について分かりやすく解説します!
有価証券報告書とは?
有価証券報告書(ゆうかしょうけんほうこくしょ)とは、
上場企業などの一定の要件を満たす企業が、
開示する必要のある電子情報を指します。
具体的には、「金融商品取引法24条各号」に該当する企業が作成義務を負っています。
いわゆる「上場企業」と言われる社会的影響度の高い企業が作成義務を負っています。
この報告書には、企業の概況、事業の状況、財務諸表など、
会社がどんなことをしていて、
どのくらい儲かっているのか?など
様々な事が記載されています。
有価証券報告書は一般的に「有報(ゆーほー)」と略され、
EDINET(えでぃねっと)または企業のホームページから閲覧できます。
(ちなみに、EDINETは「Electronic Disclosure for Investors’ NETwork」の略で、金融庁の運営するサイトになります)
1次情報を確認することの大切さ
有価証券報告書は企業が公表している情報ですから、
その情報の正しさはある程度保証されています。(1次情報にあたる)
監査法人もチェックしていますしね。
就活生の皆さんは、様々なメディアから就職先の情報を入手されることと思います。
どれも手軽に就職先の情報を教えてくれて、
非常に便利だと思います。
ただし、時には自分でしっかりと確認する事をお勧めします!
私自身、このブログを書くにあたり様々なメディアの記事を読みますが、
意外と間違って情報が記載されていることも多い。。。
例えば最近見つけた誤りだと、
- 監査人(かんさにん)と監査役(かんさやく)の違いを混同している記事
- 公認会計士になるためには「実務要件」or「公認会計士試験に合格している」どちらかで十分であると勘違いしている記事
- 不祥事を起こした会社とその事実が整合していない記事
もちろん、須く全ての記事に誤りがある訳ではないですからね。
重要だと思った内容については「1次情報」をしっかり確認する癖をつけましょう!
つまり、「有価証券報告書」も読んでみて欲しいということです!
有価証券報告書には何が書いてあるのか?
有価証券報告書に記載されている主な内容は以下の通りです。
- 企業の概況: 企業の主要な情報を簡潔にまとめたもの。
- 事業の状況: 経営方針、リスク、契約、研究開発活動などの詳細。
- 設備の状況: 企業の設備投資や計画について。
- 提出会社の状況: 株式や自己株式、配当政策などの情報。
- 経理の状況: 連結財務諸表などの財務情報。
ここから上記内容について少し詳しく解説していきますね。
企業の概況
企業の概況の部分には、会社の設立~現在に至るまでの経緯が書かれていたり、
直近5年分の売上や最終的な利益金額の推移などが記載されています。
こんな感じです!
どんな文書でも最初は「ざっくりと全体が分かる」内容を記載するものです
有価証券報告書も、全体像を1番最初に書いて、詳しいことは後に書いています。
とりあえず、ざっくり概要を知りたい人はここを読めばok!
事業の状況
事業の状況には、
会社の目指す理想の姿や(経営方針など)
理想の実現のために乗り越えねばならない
- 「企業の課題」
- 「企業を取り巻く環境への対応」
について記載がなされています。
例えば、トヨタ自動車は比較的分かりやすく、
現状抱えている課題は、
「販売している自動車から排出される二酸化炭素を減らさないといけない」
この課題に対応するために、
「水素で走る自動車やハイブリッド車の生産、全世界への供給」
といったことをしているわけです。
実際はもっと色々書いてありますので、見てみると面白いですよ!
設備の状況
設備の状況の記載なんて必要なの?
そんな声も聞こえてきそうですね。
投資家目線で考えると、企業が「どんな設備に、どのくらいの投資をしているか?」
というのは非常に大切な情報です。
例えば、今だと「AI」が広く普及してきていますが、
企業として「業務効率化」「業務の自動化」を進める事が、
将来的に企業価値(きぎょうかち)の向上に役立つと考えているのであれば、
AI分野に投資をする事が大切であるため、
『ソフトウェア』に対してどれだけ投資をしているのか?
という事が気になりますよね?
設備の状況を確認することにより、
企業がどの事業・分野に力を入れているのかという事が分かります。
提出会社の状況
提出会社とは、「有価証券報告書を提出している会社」のこと。
つまり、「自社の状況」についての記載がなされます。
具体的にどのような記載がなされるのかというと、
- 発行済の株式数や株主の情報
- 資本金の推移(増資の状況)
- どんな人が会社員の役員になっているか?
- コーポレートガバナンスの状況(適正に会社が運営される体制が整備されているか?)
このような事項が記載されています。
「どのような人が役員であるか?」
「会社が適切に経営を行うための仕組み作りをしているのか?」
この情報は結構重要で、役員によって会社の経営方針も変わります。
会社の経営体制が適切でないと、企業の不正なども防止できないですし、
「不祥事が発生&発覚」→「企業の存続の危機」
なんてことにもなりかねません。。。
経理の状況
「経理の状況」は、有価証券報告書の本体とも言える重要な情報です。
公認会計士の人達は、この経理の状況の正しさを確かめるために、
1年中作業をしているんですね。
大変そうだね。。。
大変ですよ。。。
(会社によって検証に必要な期間は変わりますが、大きな会社は基本的に1年中何かしらの作業があります。)
経理の状況にも色々な記載がなされますが、
ここでは、皆さんが勉強してきた「貸借対照表」や「損益計算書」などが記載されています。