【概要解説】印紙税とは?
社会人になって、印紙税という言葉をちらほら聞く機会が出てくる人もいらっしゃると思いますが、
「実際のところ、何に対して印紙税が課されるのかがイマイチ分からない。。。」
そんな人に向けて、ざっくりと印紙税法を解説していくというのが、この記事の趣旨となっています。
印紙税とは
用語の意味が気になった時は、気になる法律の冒頭部分を見ると大抵書いてありますから、早速確認してみましょう!
印紙税法の第二条を見ると、「印紙税とは文書に対して課される税金」であることが分かります。
別表第一の課税物件の欄に掲げる文書には、この法律により、印紙税を課する。
印紙税法: 第二条
これだけだと、どんな文書に税金が課されるのか分かりませんね。
私が今書いている、この記事も文書と言えますから、この記事に対しても印紙税は課されるのでしょうか?
別表第一の課税物件とは何か?
結論からいうと、何でもかんでも印紙税が課されるわけではなく、
特定の取引に関する契約書(課税文書)に対して、印紙税が課されます。
印紙税法に定める20種類の文書のうち、非課税文書とならないもの
▼例えばこんなものが該当する▼
- 不動産の譲渡に関する契約書
- 売上代金に係る金銭の受取書(いわゆる領収書ってやつですね)
ちなみに納税は、課税文章を作成した人が行います
▼20種類の文書一覧▼
- 不動産等の譲渡/消費貸借/運送等に関する契約書
- 請負に関する契約書
- 約束手形または為替手形
- 株券/社債券等の有価証券
- 合併契約書等
- 定款
- 継続取引の基本となる契約書
- 預金証書/貯金証書
- 倉荷証券、船荷証券
- 保険証券
- 信用状
- 信託行為に関する契約書
- 債務の保証に関する契約書
- 金銭またが有価証券の寄託に関する契約書
- 債権譲渡または債務引受に関する契約書
- 配当金領収書、配当金振込通知書
- 売上代金に係る金銭または有価証券の受取書
- 預金通帳等
- 消費貸借通帳、請負通帳等
- 判取帳
税率はどうなっているのか?
印紙税の場合、税率が定まっているというよりは、契約書に書かれている金額が
「〇〇万円以上、〇〇万円以下なら〇〇円を支払いなさい」
という形で表されることが多いです。
もちろん、印紙税額を契約金額などで割れば、税率が出ないことはないけどね
「不動産譲渡契約書」及び「建設工事請負契約書」の印紙税の軽減措置について
課税文書のうち、
- 不動産譲渡契約書
- 建設工事の請負に関する契約書
この2つについては、印紙税の金額が令和9年(2027年)3月31日まで軽減されています
どうやって納税するの?
印紙税の納付はコンビニや郵便局などで販売されている印紙を購入して、契約文書に貼り付けることで納付をします。
コンビニや郵便局での支払いがそのまま納税になるっていうイメージだね
原則は収入印紙を契約文書に貼り付ける
特例的な納付方法も用意されている
原則は契約文書に収入印紙を貼り付ける方法で納付することが求められますが、
例えば、毎日収入印紙を貼り付ける必要がある取引が発生する場合は、1枚1枚契約文書に貼り付けることはかなり面倒なので、
「税印」というスタンプを押すことによって納税する方法があります
収入印紙を貼ったことがないよという人も、実は会社が特例的な方法で印紙税の納付を行っていたという可能性もあるよ!
うっかり印紙を貼り忘れたら?
収入印紙を貼り付けるべき課税文書に貼り忘れた場合、懲罰的に過怠税を徴収されます。
法人税等を故意に納付しなかった場合に追徴される「重加算税」が40%と考えると、3倍というのはかなり厳しいペナルティですね。。。
ちなみに、税務調査により課税文書への収入印紙の貼り忘れが発見された場合には、原則通り3倍の過怠税の支払いを行いますが、
収入印紙の貼り忘れに気づいて、自主的に納付漏れがあったことを申告した場合は、1.1倍まで軽減されます。(法20条2項)
逆に多く払い過ぎたら?
印紙税を納付しなかった場合には、懲罰的に過怠税が徴収されることは分かりましたが、
逆に、誤って貼る必要のない文書に収入、印紙を貼り付けてしまった場合はどうなるのでしょうか?
結論から言うと、文書の作成日から5年以内に「印紙税過誤納確認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出することによって還付金という形で返却されます。
※法14条1項〜3項
もちろん、過誤納があったことが認定されればだけどね!
印紙税を払わなくて良い場合がある
印紙税を払わなくて良い場合(非課税文書に当たるケース)はいくつかありますが、
日常生活において特に頻繁に発生するであろう「お店で商品を買った時にクレジットカードで代金の支払いを行う」ケース、
この場合は、収入印紙の貼り付けは不要になります。
商品を購入した時にもらうレシートや領収書は、
「売上代金に係る金銭または有価証券の受取書」
に該当する可能性がありますが、お店側は実際に金銭を受領していないため、
金銭の受領事実がないと考えられるためです
確かに商品を購入したタイミングでは、私たちは現金を払ってないですよね!
QRコード決済の場合も収入印紙が不要となるケースがある
ここ数年で急速に普及してきた QR コード決済ですが、こちらも収入印紙の貼り付けが不要となる場合があります
理屈としては、クレジットカードで商品を買った場合と同様ですが、
QR コード決済はその支払いが、
- クレジットカードに紐付いてる場合
- 決済アプリにお金をチャージして、チャージ残高を使って支払いをする場合
- 代金の支払い時に顧客が上記のどちらかを選択できる場合
など、いくつかのケースが考えられ、選択する支払い方法によっては金銭の受領があったとみなされるケースもあるので注意が必要です。
実際のお店では、従業員が領収書に印紙税の貼り付けが必要かどうかの判断は難しいため、
一般的にはレジに決済手段と商品代金の入力をすると、印紙の貼り付けが必要かどうかを自動で判断してくれる仕組みになっているケースが多いようです
収入印紙の貼り付けが必要な場合は、領収書の右端に貼り付け欄が印字されるような仕組みです